途中で要望変更する時の上手な伝え方
「やっぱりこうしたい」「社長から新しい要望が...」プロジェクト途中での変更要望は必ず発生します。しかし、伝え方次第で、スムーズに対応してもらえることも、関係が悪化することもあります。上手な変更依頼の方法を詳しく解説します。
なぜ途中変更は問題になるのか
制作会社側の事情を理解する
スケジュールへの影響:
- 他の作業の組み直し
- リソースの再配分
- 納期への圧迫
コストへの影響:
- 追加工数の発生
- 手戻り作業
- 機会損失
品質への影響:
- 一貫性の崩れ
- テスト不足
- 最適化不足
モチベーションへの影響:
- やり直しのストレス
- 達成感の喪失
- 信頼関係の低下
変更要望の3つのレベル
レベル1:軽微な変更
例:
- テキストの修正
- 色の微調整
- 画像の差し替え
**影響:**最小限 **対応:**通常は無償対応
レベル2:中程度の変更
例:
- レイアウト変更
- 機能の追加
- ページの追加
**影響:**スケジュール調整必要 **対応:**追加費用の可能性
レベル3:大幅な変更
例:
- コンセプト変更
- 仕様の根本的変更
- ターゲット変更
**影響:**プロジェクト全体の見直し **対応:**確実に追加費用発生
変更を伝える前の準備
1. 変更の必要性を整理
自問すべきこと:
・なぜ変更が必要なのか?
・変更しないとどうなるか?
・代替案はないか?
・本当に今必要か?
・公開後の対応では遅いか?
2. 影響範囲を想定
確認事項:
- どの部分に影響するか
- 作業の手戻りはあるか
- スケジュールへの影響
- 他の機能との整合性
3. 優先順位を決める
必須:これがないと公開できない
重要:できれば対応してほしい
希望:余裕があれば対応
将来:次期開発で対応
上手な伝え方の7つのポイント
1. まず謝罪と感謝から始める
良い例:
「進行中にも関わらず変更のお願いで申し訳ありません。
いつも柔軟にご対応いただき感謝しています。」
2. 変更の背景を説明する
良い例:
「実は先日の役員会で、ターゲット層を少し広げる
方針が決まりました。そのため...」
悪い例:
「とにかく変更してください」
3. 具体的に何をどう変えたいか明確に
良い例:
Before:お問い合わせボタンを青色で右上配置
After:オレンジ色で中央配置に変更したい
理由:コンバージョン率向上のため
4. 影響を理解していることを示す
良い例:
「この変更により、デザインの調整が必要になることは
理解しています。スケジュールへの影響はいかがでしょうか?」
5. 相談ベースで依頼する
良い例:
「可能でしょうか?」
「難しい場合は代替案を一緒に考えていただけますか?」
悪い例:
「必ずやってください」
「できて当然でしょう」
6. 妥協点を用意する
良い例:
「理想はAですが、難しければBでも構いません。
最低限Cだけは実現したいです。」
7. 費用とスケジュールを確認する
良い例:
「追加費用が発生する場合は、事前に見積もりを
いただけますか?また、納期への影響も教えてください。」
タイミング別の変更依頼方法
要件定義フェーズ
この時期なら:
- 変更の影響は最小限
- 積極的に意見を出すべき
- ただし決定後は固定
伝え方:
「要件定義の段階で気づいたのですが、
○○も追加したいです。可能でしょうか?」
デザインフェーズ
この時期なら:
- ある程度の変更は想定内
- ただし根本的変更は避ける
- 修正回数の確認必要
伝え方:
「デザインを見て気づいたのですが、
○○の部分を調整いただけますか?」
開発フェーズ
この時期は:
- 変更の影響大
- 慎重に判断
- 緊急性を吟味
伝え方:
「開発中で申し訳ないのですが、どうしても
○○を変更する必要が出てきました。
影響と対応方法を相談させてください。」
テストフェーズ
この時期は:
- 原則変更しない
- 致命的な問題のみ
- 次期対応を検討
伝え方:
「テスト段階ですが、致命的な問題を発見しました。
○○だけは修正が必要です。」
変更依頼のメールテンプレート
軽微な変更の場合
件名:【ご相談】○○の微修正について
○○制作会社
△△様
いつもお世話になっております。
□□会社の××です。
制作いただいているサイトについて、
1点修正をお願いしたい箇所があります。
【修正内容】
ページ:トップページ
箇所:メインビジュアルのキャッチコピー
現在:「信頼と実績の○○」
変更後:「50年の信頼と実績」
【理由】
具体的な数字を入れた方が訴求力が高いため
お忙しいところ恐縮ですが、
ご対応可能でしょうか。
よろしくお願いいたします。
中程度の変更の場合
件名:【重要】機能追加のご相談
○○制作会社
△△様
お世話になっております。
プロジェクト進行中で大変恐縮ですが、
新たな要望が出てきました。
【変更内容】
お問い合わせフォームに「資料請求」の
選択肢を追加したい
【背景】
営業部門から、資料請求と一般問い合わせを
分けて管理したいとの要望がありました
【希望対応】
- 可能であれば今回のリリースに含める
- 難しければ公開後すぐの対応
追加費用とスケジュールへの影響を
教えていただけますでしょうか。
ご相談ベースで構いませんので、
一度お打ち合わせいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
追加費用を最小限にする交渉術
1. バーター提案
「この機能を追加する代わりに、
○○機能は削除しても構いません」
2. 段階的実装
「今回は簡易版で実装し、
次期開発で本格版にしませんか?」
3. 自社対応の申し出
「素材は弊社で用意します」
「原稿は完全版を提供します」
4. 継続案件の約束
「今回は特別にお願いしたいです。
運用保守は必ずお願いします」
5. 納期の調整
「納期を1週間延ばしても良いので、
追加費用なしでお願いできませんか?」
やってはいけないNGな伝え方
NG例1:一方的な要求
「これくらいすぐできるでしょう」
「追加費用なんて払えません」
NG例2:責任転嫁
「最初から言ったはずです」
「そちらの理解不足です」
NG例3:感情的な対応
「なんでできないんですか!」
「他社ならやってくれます」
NG例4:曖昧な依頼
「もっと良くして」
「なんか違う」
変更が多い場合の対処法
変更管理表を作る
【変更管理表】
No | 日付 | 内容 | 影響 | 費用 | 対応
1 | 4/1 | ロゴ変更 | 小 | 0円 | 完了
2 | 4/5 | ページ追加 | 中 | 5万円 | 対応中
3 | 4/10 | 機能追加 | 大 | 要相談 | 保留
定期的な変更確認会
- 週1回変更要望をまとめる
- 優先順位を決める
- 一括で依頼
変更予算の確保
- プロジェクト予算の10〜20%
- 変更枠として最初から計上
まとめ:変更は「相談」として伝える
途中変更は避けられませんが、伝え方次第で結果は大きく変わります。
成功の秘訣:
- 相手の立場を理解する
- 変更の背景を説明する
- 具体的に依頼する
- 相談ベースで話す
- 費用と時間を確認する
最重要ポイント: 変更は「要求」ではなく「相談」。制作会社と一緒に最適な解決策を見つける姿勢が、良い結果を生みます。
「申し訳ない」という気持ちと「一緒に解決したい」という姿勢を持って伝えることで、制作会社も前向きに対応してくれるはずです。良好な関係を保ちながら、必要な変更を実現していきましょう。
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