保守契約が必要なCMSと不要なCMSの違い
保守契約なしで運用したら年間損失200万円
「保守契約って本当に必要?」 「月3万円も払う価値ある?」
この疑問、すべての発注者が抱きます。結論から言うと、CMSによって保守の必要度は天と地ほど違います。
保守契約が不要なCMSに月額3万円払い続けるのも、保守必須のCMSを契約なしで運用するのも、どちらも大損です。
保守契約の中身を理解する
そもそも保守契約に含まれるもの
| 保守内容 | 詳細 | 重要度 | 月額費用目安 |
|---|---|---|---|
| 監視 | 死活監視、エラー検知 | ★★★★★ | 5,000円 |
| バックアップ | 定期自動バックアップ | ★★★★★ | 5,000円 |
| セキュリティ | 脆弱性対策、不正アクセス防止 | ★★★★★ | 10,000円 |
| アップデート | CMS本体、プラグイン更新 | ★★★★☆ | 10,000円 |
| 軽微な修正 | テキスト変更、画像差し替え | ★★★☆☆ | 10,000円 |
| 緊急対応 | 障害時の復旧作業 | ★★★★★ | 10,000円 |
| 相談対応 | 技術的な質問への回答 | ★★☆☆☆ | 5,000円 |
保守契約の料金相場
【サイト規模別の月額保守費用】
5ページ以下の小規模サイト:
・最低限プラン: 5,000-10,000円
・標準プラン: 15,000-30,000円
10-30ページの中規模サイト:
・最低限プラン: 10,000-20,000円
・標準プラン: 30,000-50,000円
50ページ以上の大規模サイト:
・最低限プラン: 30,000-50,000円
・標準プラン: 50,000-100,000円
ECサイト・会員サイト:
・最低限プラン: 50,000円〜
・標準プラン: 100,000円〜
CMS別:保守契約の必要度
WordPress - 保守契約必須度: ★★★★★
【保守契約が必須な理由】
1. セキュリティリスクが高い
- 世界シェア43%で狙われやすい
- プラグインの脆弱性多数
- 定期的なアップデート必須
2. 更新作業が複雑
- WordPress本体の更新
- プラグインの更新(平均10-20個)
- テーマの更新
- PHP/MySQLのバージョンアップ
3. トラブル時の影響大
- 画面真っ白になることも
- データベース破損リスク
- 復旧に専門知識必要
WordPress保守契約なしのリスクと実例
| リスク | 発生確率 | 被害額 | 実例 |
|---|---|---|---|
| 改ざん | 年30% | 50-200万円 | 偽薬サイトへ誘導 |
| データ消失 | 年10% | 100-500万円 | 3年分の記事消失 |
| 情報漏洩 | 年5% | 300-1000万円 | 顧客情報流出 |
| サイト停止 | 年50% | 日10万円 | プラグイン競合 |
Wix - 保守契約必須度: ★☆☆☆☆
【保守契約がほぼ不要な理由】
1. 完全クラウド型
- サーバー管理不要
- 自動アップデート
- セキュリティはWix側で対応
2. シンプルな仕組み
- プラグインなし
- カスタマイズ制限
- トラブル要因が少ない
3. サポート体制
- 公式サポートあり
- コミュニティ充実
- トラブル自体が少ない
Wixで保守契約が必要なケース
・更新作業を外注したい
・デザイン変更を定期的に行う
・広告運用のサポートが欲しい
・アクセス解析レポートが必要
→ これらは「保守」ではなく「運用支援」
Shopify - 保守契約必須度: ★★☆☆☆
【基本保守は不要、カスタマイズ部分は必要】
標準機能のみ:保守不要
- 本体は自動更新
- セキュリティ対策込み
- 24時間サポート
カスタマイズあり:保守推奨
- カスタムアプリの更新
- テーマのカスタマイズ部分
- API連携のメンテナンス
STUDIO - 保守契約必須度: ★☆☆☆☆
【保守契約が不要な理由】
1. SaaS型サービス
- インフラ管理不要
- 自動アップデート
- セキュリティ込み
2. ノーコード
- プログラムエラーなし
- プラグイン不要
- 安定性高い
保守契約の判断フローチャート
Q1: WordPressですか?
├─ YES → 保守契約必須
└─ NO → Q2へ
Q2: カスタマイズしていますか?
├─ YES → Q3へ
└─ NO → 保守契約不要
Q3: 月間アクセス1万PV以上?
├─ YES → 保守契約推奨
└─ NO → Q4へ
Q4: EC・会員機能あり?
├─ YES → 保守契約必須
└─ NO → スポット対応でOK
保守契約の費用対効果
保守契約ありなしの3年間コスト比較
【WordPress 中規模サイトの場合】
保守契約あり:
・月額3万円 × 36ヶ月 = 108万円
・トラブル発生: 0回
・機会損失: 0円
合計: 108万円
保守契約なし:
・保守費用: 0円
・改ざん復旧(1回): 50万円
・緊急対応(3回): 30万円
・データ復旧(1回): 30万円
・機会損失: 100万円
合計: 210万円
→ 保守契約により102万円の節約
保守契約のレベル選択
3段階の保守プラン比較
| プラン | 月額 | 含まれる内容 | こんな人向け |
|---|---|---|---|
| ライト | 1-2万円 | 監視・バックアップのみ | 予算重視 |
| スタンダード | 3-5万円 | +月次更新・軽微修正 | 一般企業 |
| プレミアム | 5-10万円 | +即日対応・改修込み | ミッションクリティカル |
保守契約に含めるべき項目
【必須項目】
✅ 24時間365日監視
✅ 日次バックアップ(30日分保持)
✅ セキュリティアップデート
✅ 緊急時の対応(営業時間内)
✅ 月次レポート
【あると安心】
・営業時間外の緊急対応
・軽微な修正(月○回まで)
・アクセス解析レポート
・改善提案
・電話サポート
【オプション】
・コンテンツ更新代行
・広告運用
・SEO対策
・サーバー増強
保守契約のトラブル事例
よくある保守契約トラブル
【ケース1:含まれると思っていたのに...】
問題: テキスト修正を依頼したら追加請求
原因: 契約に「修正作業」が含まれていない
対策: 契約時に具体的な作業内容を確認
【ケース2:全然対応してくれない】
問題: 障害発生も「明日対応」と言われた
原因: 「緊急対応」の定義が曖昧
対策: SLAを明確に定める
【ケース3:値上げの連続】
問題: 毎年値上げされて月10万円に
原因: 値上げ条項を見落とし
対策: 料金改定ルールを確認
自社でできる保守作業
CMS別セルフメンテナンス難易度
| CMS | バックアップ | 更新作業 | トラブル対応 | 必要スキル |
|---|---|---|---|---|
| WordPress | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | 高い |
| Wix | 不要 | 自動 | ★☆☆☆☆ | 低い |
| Shopify | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | 中程度 |
| STUDIO | 不要 | 自動 | ★☆☆☆☆ | 低い |
最低限やるべきセルフメンテナンス
【毎日】
・サイト表示確認
・フォーム動作確認
【週次】
・バックアップ確認
・エラーログ確認
【月次】
・プラグイン更新(WordPress)
・アクセス解析確認
・表示速度測定
【年次】
・SSL証明書更新
・ドメイン更新
・サーバー契約更新
まとめ:保守契約の最適解
CMS別の推奨保守レベル
WordPress:
→ スタンダード以上の保守契約必須
Wix/STUDIO:
→ 保守契約不要(運用支援は別途検討)
Shopify:
→ カスタマイズ度に応じて選択
独自開発:
→ プレミアム保守契約必須
保守契約チェックリスト
・契約内容は具体的に記載されているか
・対応時間は明確か(営業時間内/24時間)
・緊急時の対応フローは決まっているか
・料金改定のルールは明確か
・解約条件は妥当か
・作業報告の頻度と内容は適切か
結論:WordPressなら保守契約は保険ではなく必要経費
保守契約を「もったいない」と思う気持ちは分かります。しかし、事故が起きてからでは手遅れです。特にWordPressは、保守契約なしの運用は時限爆弾を抱えているようなもの。
一方、WixやSTUDIOに月3万円の保守費を払っているなら、それはお金の無駄かもしれません。
CMSの特性を理解し、本当に必要な保守レベルを見極めることが、賢い運用の第一歩です。
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