見積比較でチェックすべきは金額じゃない!本当に見るべき3つのポイント

150万円と300万円、どちらが安い?

「A社150万円、B社300万円、C社200万円」

この見積もり、どれを選びますか?ほとんどの人がA社を選びます。そして1年後に500万円かけて作り直すことになります。

見積もりの金額だけを見て判断すると、ほぼ確実に失敗します。なぜなら、Web制作の見積もりは「何が含まれているか」によって、実質的な価値が全く変わるからです。

ポイント1:作業範囲の明確さ

含まれているものリスト比較

項目A社(150万円)B社(300万円)C社(200万円)
デザイン案1案のみ3案提案2案提案
ページ数5ページ10ページ7ページ
スマホ対応別途50万円込み込み
フォーム簡易版高機能版標準版
SEO対策なし基本対策込み軽微な対策
写真撮影なしプロ撮影5点素材サイト
原稿作成お客様用意ライター作成一部サポート
修正回数2回まで無制限5回まで
納品後サポートなし3ヶ月無料1ヶ月無料

隠れコストの計算

【A社を選んだ場合の追加費用】
・スマホ対応: 50万円
・SEO対策: 30万円
・写真撮影: 20万円
・原稿作成: 30万円
・追加修正: 5万円×6回 = 30万円
合計: 150万円 + 160万円 = 310万円

【B社の場合】
追加費用なし: 300万円で完結

作業範囲チェックリスト

・デザイン提案数は明記されているか
・ページ数と各ページの内容は明確か
・レスポンシブ対応は含まれているか
・フォームの機能詳細は記載されているか
・SEO対策の具体的内容は?
・写真・画像の調達方法は?
・テキスト原稿は誰が用意するか
・修正回数と修正範囲は?
・納品後のサポート期間は?
・サーバー・ドメイン費用は?

ポイント2:スケジュールの現実性

制作期間別の品質リスク

制作期間リスクレベル起こりうる問題適正な規模
1ヶ月以内★★★★★テンプレート使い回し、テスト不足LP1枚
1-2ヶ月★★★★☆デザイン妥協、機能制限5ページ程度
2-3ヶ月★★☆☆☆標準的、若干の調整不足10ページ程度
3-4ヶ月★☆☆☆☆余裕あり、品質確保20ページ程度
4ヶ月以上★★☆☆☆進行管理の難しさ大規模サイト

工程別の適正期間

【10ページ企業サイトの標準スケジュール】

要件定義・企画: 2週間
├─ ヒアリング: 3日
├─ 競合調査: 2日
├─ サイトマップ作成: 3日
└─ ワイヤーフレーム: 5日

デザイン: 3週間
├─ トップページ: 1週間
├─ 下層ページ: 1週間
└─ 修正・調整: 1週間

コーディング: 3週間
├─ HTML/CSS: 2週間
├─ JavaScript実装: 3日
└─ レスポンシブ調整: 4日

CMS構築: 2週間
├─ 環境構築: 2日
├─ テンプレート作成: 1週間
└─ 動作確認: 5日

テスト・納品: 1週間
├─ ブラウザテスト: 2日
├─ 修正対応: 3日
└─ 本番公開: 2日

合計: 約11週間(2.5-3ヶ月)

短納期の落とし穴

【1ヶ月納期の見積もりの実態】

表面的には安く見える理由:
・既存テンプレートの流用
・デザイン工程の省略
・テスト工程の短縮
・修正対応の制限

結果として起こる問題:
・他社サイトと似たデザイン
・スマホで表示崩れ
・フォームが動かない
・SEOで上位表示されない
・公開後の修正は全て有料

ポイント3:契約条件の詳細

要注意の契約条項

条項危険度よくあるトラブル対策
著作権★★★★★譲渡されず再利用不可完全譲渡を明記
追加費用★★★★☆想定外の請求上限設定
納期遅延★★★★☆ペナルティなし遅延損害金設定
検収条件★★★★★永遠に完了しない明確な基準設定
解約条項★★★☆☆返金なし段階的返金設定

支払い条件の比較

【支払いパターン別リスク】

A社: 着手時100%
リスク: ★★★★★
問題: 納品されなくても返金なし

B社: 着手50%、納品50%
リスク: ★★★☆☆
問題: 標準的だが途中解約困難

C社: 着手30%、中間30%、納品40%
リスク: ★★☆☆☆
問題: 理想的な分割

D社: 納品後100%
リスク: ★☆☆☆☆(発注側)
問題: 制作会社が受けない

保証内容の重要性

【納品後の保証比較】

最低限の保証:
・瑕疵担保期間: 3ヶ月以上
・不具合修正: 無償対応
・表示崩れ: 即日対応

標準的な保証:
・瑕疵担保期間: 6ヶ月
・軽微な修正: 月2回まで無料
・操作サポート: 3ヶ月
・アップデート: 1年間

理想的な保証:
・瑕疵担保期間: 1年
・定期メンテナンス: 月1回
・緊急対応: 24時間以内
・データバックアップ: 自動

見積もり比較の実例

ケース1:ECサイト構築

【3社の見積もり比較】

A社: 200万円
・Shopify使用
・テンプレートカスタマイズ
・商品登録50点まで
・決済手段2種類
・納期1.5ヶ月

B社: 350万円
・WordPress + WooCommerce
・オリジナルデザイン
・商品登録無制限
・決済手段5種類
・納期3ヶ月

C社: 500万円
・フルスクラッチ開発
・完全オリジナル
・高度なカスタマイズ
・API連携対応
・納期4ヶ月

【1年後の実際のコスト】
A社: 200万円 + 月額3万円 + カスタマイズ150万円 = 386万円
B社: 350万円 + 月額2万円 = 374万円
C社: 500万円 + 月額1万円 = 512万円

ケース2:コーポレートサイト

【安さに飛びついた失敗例】

当初の見積もり:
X社: 80万円(最安値)

追加請求の連続:
・スマホ対応: +40万円
・SSL対応: +10万円
・お問い合わせフォーム高機能化: +20万円
・ページ追加(5ページ): +50万円
・SEO基本対策: +30万円
・アクセス解析設置: +10万円

最終的な支払い: 240万円

Y社(当初150万円)を選んでいれば:
全て込みで150万円で済んだ

見積もり評価シート

総合評価の方法

【評価項目と配点】

価格(20点)
・予算内: 20点
・予算の1.2倍: 15点
・予算の1.5倍: 10点
・予算の2倍以上: 5点

作業範囲(30点)
・必要機能全て含む: 30点
・8割カバー: 20点
・6割カバー: 10点
・半分以下: 5点

実績・信頼性(20点)
・類似実績豊富: 20点
・実績あり: 15点
・実績少ない: 10点
・実績不明: 5点

スケジュール(15点)
・適正期間: 15点
・やや短い: 10点
・短すぎる: 5点
・長すぎる: 5点

サポート体制(15点)
・充実: 15点
・標準: 10点
・最低限: 5点
・なし: 0点

合計: 100点満点

プロが教える交渉術

値下げ交渉より効果的な方法

【価格交渉ではなく内容交渉を】

NGな交渉:
「もう少し安くなりませんか?」
→ 品質が下がるだけ

効果的な交渉例:

1. 段階的な実装
「フェーズ1で基本機能、フェーズ2で追加機能」

2. 作業分担
「原稿作成は自社で行うので、その分を減額」

3. 納期調整
「納期を1ヶ月延ばすので、10%減額可能?」

4. 支払い条件
「前払い50%にするので、5%割引」

5. 継続前提
「保守契約前提で初期費用の調整」

まとめ:見積もりの本質

最終チェックリスト

・作業範囲は全て明文化されているか
・追加費用が発生する条件は明確か
・スケジュールに無理はないか
・支払い条件は適正か
・納品後のサポートは含まれているか
・契約条件に不利な内容はないか
・実績と見積もり内容は一致しているか
・担当者との相性は良いか

結論:最安値を選ぶと最高値を払うことになる

見積もり金額は氷山の一角です。水面下には作業範囲、品質、サポート、将来の拡張性など、本当のコストが隠れています。

150万円の見積もりが、実は350万円の価値かもしれません。300万円の見積もりが、実は150万円の内容かもしれません。

大切なのは「何にいくら払うのか」を正確に理解すること。この記事のチェックポイントを使えば、見積もりの本当の価値が見えてきます。

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