キックオフミーティングで決めるべき5つのこと
契約が締結され、いよいよプロジェクトがスタート。キックオフミーティングは単なる顔合わせではありません。ここで決めた内容が、その後3〜4ヶ月のプロジェクトの進め方を決定づけます。必ず決めるべき5つの項目を詳しく解説します。
キックオフミーティングの目的と重要性
キックオフミーティングは、制作会社と発注者が「同じゴール」に向かって進むための起点です。ここで認識のズレがあると、後で大きな手戻りや追加費用が発生する可能性があります。
よくある失敗パターン
- 「詳細は追って」で先送りして、後で揉める
- 決裁者が不在で、重要事項が決まらない
- 議事録を作らず、言った言わないのトラブルに
- スケジュールだけ確認して、役割分担が曖昧
決めるべき5つの必須項目
1. プロジェクトゴールと成功指標の明確化
なぜ重要か: 「きれいなサイト」「使いやすいサイト」では、完成後に「イメージと違う」となりがちです。
決めること:
- プロジェクトの最終目標
- 数値化できる成功指標(KPI)
- 優先順位(デザイン重視?機能重視?納期重視?)
具体例:
目標:新規問い合わせを月10件獲得する
KPI:
- 月間PV:10,000以上
- お問い合わせフォーム到達率:5%
- フォーム完了率:20%
優先順位:
1. スマホでの使いやすさ
2. 問い合わせまでの導線
3. デザインの美しさ
確認すべき質問:
- 「このプロジェクトが成功したと言えるのはどんな状態か?」
- 「絶対に譲れない要素は何か?」
- 「妥協できる要素は何か?」
2. 体制と役割分担の明確化
なぜ重要か: 「誰に何を聞けばいいか分からない」状態は、進行の大きな妨げになります。
決めること:
制作会社側:
- プロジェクトマネージャー(PM)
- デザイナー
- エンジニア
- 各担当者の役割と責任範囲
発注者側:
- プロジェクトオーナー(最終決裁者)
- プロジェクトリーダー(実務責任者)
- 各部署の担当者
- 承認権限の範囲
体制表の例:
【制作会社】
PM:田中(全体進行、窓口)
デザイン:鈴木(デザイン全般)
開発:佐藤(システム実装)
【発注者】
オーナー:社長(最終承認)
リーダー:営業部長(実務責任)
担当:山田(日常連絡窓口)
確認すべき質問:
- 「緊急時の連絡先は?」
- 「承認に何日必要か?」
- 「誰が最終的な判断をするか?」
3. コミュニケーションルールの設定
なぜ重要か: コミュニケーションの混乱は、プロジェクト遅延の最大要因です。
決めること:
定例会議:
- 頻度(週1回、隔週等)
- 曜日と時間
- 参加者
- 形式(対面/オンライン)
日常連絡:
- 主な連絡手段(メール/Slack/Chatwork等)
- レスポンス期限(24時間以内等)
- 緊急連絡の方法
情報共有:
- ドキュメント管理方法(Google Drive/Dropbox等)
- 進捗報告の方法
- 議事録の作成と共有
ルール例:
定例:毎週火曜 15:00〜16:00(オンライン)
連絡:Slackで日常連絡、重要事項はメール
レスポンス:営業日24時間以内
ドキュメント:Google Driveで共有
議事録:会議後24時間以内に共有
確認すべき質問:
- 「どのツールを使い慣れているか?」
- 「対応可能な時間帯は?」
- 「休暇予定はあるか?」
4. スケジュールとマイルストーンの確認
なぜ重要か: 「なんとなく3ヶ月後」では、必ず遅延します。
決めること:
主要マイルストーン:
- 要件定義完了
- デザイン確定
- 開発完了
- テスト公開
- 本番公開
各フェーズの期限:
- 具体的な日付
- 承認に必要な期間
- バッファの考え方
発注者側のタスク:
- 素材提供期限
- 原稿提出期限
- 確認・承認期限
スケジュール例:
2/1 キックオフ
2/15 要件定義完了
2/28 サイトマップ承認
3/15 デザイン初稿提出
3/31 デザイン確定
4/15 開発完了
4/30 テスト公開
5/15 本番公開
確認すべき質問:
- 「各工程で何日の確認期間が必要か?」
- 「繁忙期や休暇の予定は?」
- 「遅延した場合の対応は?」
5. 変更管理とリスク対応の取り決め
なぜ重要か: 「ちょっとした変更」の積み重ねが、大幅な遅延とコスト増を招きます。
決めること:
変更管理:
- 仕様変更の申請方法
- 影響範囲の確認プロセス
- 追加費用の扱い
- 変更の記録方法
リスク管理:
- 想定されるリスク
- 対応策
- エスカレーション方法
ルール例:
変更要望:
1. 変更依頼書を提出
2. 影響範囲と見積もりを提示
3. 承認後に作業開始
リスク対応:
- 原稿遅延→ダミーテキストで進行
- デザイン承認遅延→次工程と並行作業
- 技術的課題→代替案を提示
確認すべき質問:
- 「どこまでが契約範囲内か?」
- 「追加費用が発生する条件は?」
- 「トラブル時の対応フローは?」
キックオフミーティングの準備チェックリスト
発注者側の準備
- 参加者の日程調整
- 会議室/オンライン環境の準備
- 既存資料の整理
- 質問事項のリストアップ
- 社内の要望とりまとめ
制作会社に事前確認すること
- アジェンダの共有依頼
- 必要な持ち物
- 参加者リスト
- 所要時間
- 準備すべき資料
会議を成功させる7つのコツ
1. 決裁者を必ず参加させる
最終決定権を持つ人が不在だと、重要事項が決まりません。
2. アジェンダを事前共有する
何を決めるのか事前に分かっていれば、準備して臨めます。
3. 時間配分を決める
2時間の会議の時間配分例を以下に示します。
- プロジェクト概要説明:30分
- 体制・ルール確認:30分
- スケジュール確認:30分
- 質疑応答:30分
4. 議事録担当を決める
制作会社側で作成することが多いですが、事前に確認しましょう。
5. 宿題事項を明確にする
会議で決まらなかったことは、「誰が・いつまでに」を明確に。
6. 次回アクションを確認する
会議の最後に、次の1週間で各自がやることを確認。
7. 議事録は24時間以内に共有
記憶が新しいうちに文書化し、認識のズレを防ぐ。
よくある質問と対処法
Q: どのくらいの時間を確保すべき?
A: 最低2時間、できれば3時間。急いで決めると後で問題になります。
Q: 誰を参加させるべき?
A: 発注者側は決裁者+実務担当者+関連部署の代表。多すぎても決まらないので5名以内が理想。
Q: オンラインでも問題ない?
A: 問題ありませんが、初回は可能なら対面がおすすめ。信頼関係構築には顔を合わせることが効果的。
Q: 準備にどのくらい時間をかけるべき?
A: 最低でも前日までに、社内の意見集約と資料準備を完了させましょう。
まとめ:キックオフの質がプロジェクトの質を決める
キックオフミーティングで決めた内容は、プロジェクトの「憲法」となります。ここで手を抜くと、後で必ずしわ寄せが来ます。
特に重要なポイントは以下のとおりです。
- ゴールを数値で明確にする
- 役割と権限を明文化する
- コミュニケーションルールを決める
- スケジュールを具体的に決める
- 変更時のルールを決める
これらをしっかり決めることで、スムーズなプロジェクト進行が可能になります。「なんとなく始める」のではなく、「明確なルールのもとで始める」ことが、Web制作成功の第一歩です。
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