公開後1〜3ヶ月でやるべき効果検証の方法
サイトを公開して安心していませんか?実は公開後の3ヶ月が、投資効果を最大化する最も重要な期間です。この期間にしっかりと効果検証を行い、改善サイクルを回すことで、サイトの成果は大きく変わります。
なぜ公開後1〜3ヶ月が重要なのか
初期データが最も価値が高い理由
1. ユーザーの第一印象が分かる
- 新鮮な目で見たユーザーの反応
- 想定外の使われ方の発見
- 致命的な問題の早期発見
2. 改善効果が最も大きい
- 小さな改善で大きな効果
- ユーザーが定着する前に最適化
- 競合に差をつけるチャンス
3. 投資判断の材料になる
- 追加投資の必要性判断
- 費用対効果の検証
- 次期開発の方向性決定
1ヶ月目:基本データの収集と初期改善
Week 1-2:計測環境の確認
確認すべき計測ツール:
必須ツール:
・Google Analytics 4(GA4)
・Google Search Console
・ヒートマップツール(Clarity等)
推奨ツール:
・Google Tag Manager
・Facebook Pixel
・その他広告計測タグ
計測項目の確認:
- イベント設定(問い合わせ、資料DL等)
- コンバージョン設定
- 目標値の設定
- フィルター設定(社内アクセス除外等)
Week 3-4:基本指標の確認
必ず見るべき5つの指標:
- トラフィック指標
目標例:
- 月間セッション数:10,000
- ユーザー数:7,000
- ページビュー:30,000
- エンゲージメント指標
目標例:
- 平均滞在時間:2分以上
- 直帰率:60%以下
- ページ/セッション:3ページ以上
- コンバージョン指標
目標例:
- 問い合わせ数:月50件
- 問い合わせ率:1.5%
- 資料ダウンロード:月100件
- デバイス別指標
確認項目:
- モバイル比率:60%想定
- デバイス別コンバージョン率
- デバイス別直帰率
- 流入元指標
確認項目:
- 自然検索:40%
- 直接流入:30%
- SNS:20%
- 広告:10%
1ヶ月目の改善アクション
すぐに対応すべきこと:
- 404エラーページの修正
- 表示速度の改善(3秒以上かかるページ)
- 直帰率80%以上のページの改善
- フォームの離脱ポイント改善
2ヶ月目:詳細分析と仮説検証
ユーザー行動の詳細分析
ヒートマップ分析:
確認ポイント:
・クリックされている箇所
・スクロール到達率
・離脱ポイント
・注目されていない重要要素
ユーザーフロー分析:
- 主要な経路パターン
- 想定外の行動パターン
- 離脱が多いページ
- コンバージョンまでの経路
A/Bテストの実施
テスト候補の優先順位:
- CTAボタン
- 文言(「お問い合わせ」vs「無料相談」)
- 色(緑 vs オレンジ)
- サイズ(大 vs 中)
- 位置(上部 vs 下部)
- ファーストビュー
- キャッチコピー
- メイン画像
- CTAの配置
- フォーム
- 項目数
- 必須項目
- レイアウト
コンテンツ分析
人気コンテンツの特定:
分析項目:
- ページビュー数TOP10
- 平均滞在時間TOP10
- SNSシェア数TOP10
- コンバージョン貢献度TOP10
改善が必要なコンテンツ:
対象:
- 直帰率80%以上
- 滞在時間30秒以下
- 離脱率70%以上
3ヶ月目:総合評価と次期計画
KPI達成状況の評価
評価マトリクス作成:
KPI評価表(例)
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指標 | 目標 | 実績 | 達成率 | 評価
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月間PV | 30,000 | 25,000 | 83% | △
問い合わせ数 | 50 | 45 | 90% | ○
問い合わせ率 | 1.5% | 1.8% | 120% | ◎
直帰率 | 60% | 65% | 92% | △
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ROI(投資対効果)の算出
計算方法:
ROI = (獲得利益 - 投資額) ÷ 投資額 × 100
例:
サイト制作費:300万円
3ヶ月の獲得リード:150件
1リードの価値:3万円
獲得利益:450万円
ROI = (450万 - 300万) ÷ 300万 × 100 = 50%
競合比較分析
比較項目:
- トラフィック推定値(SimilarWeb等)
- 検索順位(主要キーワード)
- ページ表示速度
- コンテンツ更新頻度
- SNSエンゲージメント
継続的な改善のためのPDCAサイクル
月次レポートテンプレート
【月次効果検証レポート】
1. サマリー
- 今月のハイライト
- 主要KPI達成状況
- 重要な発見
2. 詳細データ
- トラフィック分析
- ユーザー行動分析
- コンバージョン分析
3. 改善施策と結果
- 先月の施策結果
- 今月実施した施策
- 来月の施策計画
4. 課題と対策
- 新たに発見した課題
- 優先順位
- 対応方針
改善施策の優先順位付け
ICEスコアリング:
Impact(影響度)× Confidence(確信度)× Ease(容易さ)
例:
CTAボタンの改善
I: 8点(高い効果期待)
C: 7点(過去実績あり)
E: 9点(すぐ実装可能)
スコア: 8×7×9 = 504点
効果検証でよく見落とす10のポイント
-
検索順位の推移
- 主要キーワードの順位変動
- 新規キーワードの獲得状況
-
ページ表示速度の劣化
- コンテンツ追加による速度低下
- 画像最適化の不足
-
モバイルユーザビリティ
- タップターゲットの大きさ
- 横スクロールの発生
-
フォームの完了率
- 各項目での離脱率
- エラー発生率
-
内部リンクの効果
- クリック率
- 回遊への貢献度
-
SNSからの流入
- シェア数とトラフィックの相関
- エンゲージメント率
-
リピーター率
- 新規vs再訪問の比率
- リピーターの行動パターン
-
マイクロコンバージョン
- 資料ダウンロード
- メルマガ登録
- 動画視聴完了
-
離脱ページ分析
- どこで離脱しているか
- 離脱後の行動(戻るボタン等)
-
季節変動の影響
- 業界特有の繁閑期
- イベントの影響
改善提案書の作り方
構成例
1. 現状分析(1ページ)
- 主要指標のサマリー
- 目標との乖離状況
2. 課題の特定(2ページ)
- データに基づく課題抽出
- 優先順位付け
3. 改善提案(3ページ)
- 具体的な施策
- 期待効果
- 必要リソース
4. スケジュール(1ページ)
- 実施時期
- マイルストーン
5. 予算(1ページ)
- 概算費用
- ROI予測
制作会社との効果検証会議
アジェンダ例
1. KPI達成状況の確認(15分)
2. 分析結果の共有(20分)
3. 課題と改善案の議論(30分)
4. 次期アクションの決定(15分)
5. スケジュール確認(10分)
準備すべき資料
- アナリティクスレポート
- ヒートマップ分析結果
- ユーザーフィードバック
- 競合動向
- 改善要望リスト
まとめ:データドリブンな改善を習慣化する
公開後3ヶ月の効果検証は、サイトの成功を左右する重要な活動です。
成功のポイント:
- 計測環境を正しく設定する
- 定期的にデータを確認する
- 仮説を立てて検証する
- 小さく早く改善を繰り返す
- 成果を可視化して共有する
Web サイトは生き物です。公開して終わりではなく、継続的な改善によって成長させていくもの。データに基づいた改善を習慣化することで、投資効果を最大化し、ビジネスゴールの達成につなげましょう。
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