発注前に用意するべき社内資料チェックリスト
「とりあえず作ってください」では、良いWebサイトは作れません。発注前にしっかりと社内資料を準備することで、制作期間の短縮、コスト削減、品質向上すべてを実現できます。必要な資料を漏れなく準備するためのチェックリストを提供します。
なぜ事前準備が重要なのか
準備不足が招く問題
スケジュール遅延:
資料なし → 制作開始 → 「あの資料ください」
→ 社内で探す → 見つからない → 作成
→ 2週間のロス
コスト増加:
- 制作会社の待機コスト
- 追加作業費用
- 手戻りによる修正費用
品質低下:
- 情報不足による推測での制作
- ブランドイメージのズレ
- ターゲットとのミスマッチ
必須資料チェックリスト
1. 会社・組織の基本情報
会社概要資料:
- 会社案内パンフレット
- 会社概要書(設立、資本金、従業員数等)
- 組織図
- 沿革
- 経営理念・ビジョン・ミッション
- 事業内容説明資料
ブランド関連:
- ロゴデータ(AI、EPS、PNG、JPG)
- ブランドガイドライン
- コーポレートカラー(カラーコード)
- 使用フォント指定
- ブランドメッセージ
- タグライン・スローガン
2. 商品・サービス情報
サービス資料:
- サービス一覧
- 料金表
- サービス詳細説明書
- 導入事例・実績
- お客様の声
- よくある質問(FAQ)
商品資料(ECサイトの場合):
- 商品カタログ
- 商品仕様書
- 価格表
- 在庫リスト
- 商品画像(高解像度)
- 商品説明文
3. 現状分析資料
既存サイト関連:
- 現サイトのURL
- アクセス解析データ(過去1年分)
- 問い合わせ数の推移
- 現在の課題リスト
- 改善要望書
競合分析:
- 競合他社リスト
- 競合サイトURL
- 競合との差別化ポイント
- ベンチマークしたいサイト
4. ターゲット・マーケティング資料
顧客情報:
- ターゲット層の定義
- ペルソナ設定資料
- 顧客アンケート結果
- 顧客からのフィードバック
- 購買プロセス資料
マーケティング資料:
- マーケティング戦略書
- 年間プロモーション計画
- 広告・PR実績
- SNS運用状況
- SEOキーワードリスト
5. コンテンツ素材
テキスト素材:
- 会社紹介文(各種バリエーション)
- 代表挨拶
- スタッフ紹介
- お知らせ・ニュース原稿
- プレスリリース
ビジュアル素材:
- 会社外観・内観写真
- 商品・サービス写真
- スタッフ写真
- イメージ写真
- 動画素材
- イラスト・図表
6. 技術・システム関連
現行システム情報:
- ドメイン情報
- サーバー情報
- SSL証明書情報
- メールアドレス一覧
- 使用中のツール・サービス一覧
連携システム:
- 基幹システムとの連携要件
- 外部サービス連携(API等)
- 決済システム情報
- 在庫管理システム
- CRM/SFA連携要件
準備レベル別チェックリスト
最低限準備すべきもの(必須)
・会社概要
・ロゴデータ
・サービス・商品情報
・連絡先情報
・現サイトの課題
標準的に準備すべきもの(推奨)
・必須資料すべて
・ブランドガイドライン
・ターゲット情報
・競合分析
・写真素材(10枚以上)
理想的な準備(完璧)
・推奨資料すべて
・マーケティング戦略
・詳細な原稿
・豊富な素材
・システム連携仕様
資料整理のベストプラクティス
フォルダ構成例
📁 Web制作資料
├── 📁 01_会社情報
│ ├── 会社概要.pdf
│ ├── 組織図.xlsx
│ └── 沿革.docx
├── 📁 02_ブランド
│ ├── ロゴ/
│ ├── ガイドライン.pdf
│ └── カラー.txt
├── 📁 03_サービス
│ ├── サービス一覧.xlsx
│ ├── 料金表.pdf
│ └── 事例/
├── 📁 04_素材
│ ├── 写真/
│ ├── 動画/
│ └── テキスト/
└── 📁 05_技術仕様
├── システム構成図.pptx
└── API仕様書.pdf
ファイル命名規則
良い例:
logo_color_rgb.png
company_profile_202401.pdf
service_price_list_v2.xlsx
悪い例:
ロゴ.png
資料.pdf
最新版.xlsx
クラウド共有の活用
推奨サービス:
- Google Drive
- Dropbox
- Box
- OneDrive
共有時の注意:
- アクセス権限の設定
- 有効期限の確認
- パスワード設定
- ダウンロード許可
資料が用意できない場合の対処法
ケース1:資料が存在しない
対処法:
1. 最低限の情報を箇条書きで作成
2. 既存の類似資料で代用
3. 制作会社と一緒に作成
4. 段階的に準備
ケース2:機密情報が含まれる
対処法:
1. NDA(秘密保持契約)締結
2. 機密部分を黒塗り
3. ダミーデータで代替
4. 必要最小限の開示
ケース3:古い資料しかない
対処法:
1. 現状との差分を明記
2. 更新予定を伝える
3. 参考程度として提供
4. この機会に更新
資料準備のスケジュール
理想的な準備期間(1ヶ月前から)
4週間前:
・必要資料のリストアップ
・各部署への依頼
3週間前:
・資料収集
・不足資料の作成開始
2週間前:
・資料の整理・分類
・デジタル化
1週間前:
・最終チェック
・制作会社への共有
部署別の準備担当
経営企画部門
担当資料:
- 会社概要
- 経営理念
- 中期経営計画
- 組織図
マーケティング部門
担当資料:
- ブランドガイドライン
- ターゲット分析
- 競合調査
- マーケティング戦略
営業部門
担当資料:
- サービス詳細
- 料金表
- 導入事例
- お客様の声
広報部門
担当資料:
- プレスリリース
- ニュース記事
- 写真素材
- 動画素材
IT部門
担当資料:
- システム仕様
- セキュリティ要件
- 技術仕様書
- API文書
資料の品質チェック
チェックポイント
・情報は最新か
・誤字脱字はないか
・数値は正確か
・画像は高解像度か
・ファイル形式は適切か
・著作権はクリアか
・個人情報は含まれていないか
よくある質問
Q: どこまで詳しい資料が必要?
A: 制作会社が理解できるレベルで十分。専門用語は解説を付ける。
Q: 写真がない場合は?
A: 以下の優先順位で対応:
- 新規撮影
- 素材サイトで購入
- 制作会社に撮影依頼
- イラストで代替
Q: 原稿は完璧に仕上げるべき?
A: 70%の完成度でOK。制作会社と協力してブラッシュアップ。
まとめ:準備が成功の8割を決める
Web制作の成功は、発注前の準備で8割決まります。
準備のポイント:
- 早めに資料収集を開始
- 部署横断で協力
- 完璧を求めすぎない
- 整理して共有
- 不足は正直に伝える
最重要: 資料は「制作会社への情報提供」であると同時に、「自社の棚卸し」でもあります。この機会に情報を整理することで、より良いWebサイトが生まれます。
今すぐチェックリストを印刷して、資料準備を始めましょう。準備の質が、Webサイトの質に直結します。
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