Web発注で最初に決めるべき3つの目的設定

なぜ「作る目的」が曖昧だと失敗するのか

Web制作の見積もりを取る前に、9割の発注者が陥る罠があります。それは「とりあえずサイトを作れば何かが変わる」という漠然とした期待です。

よくある曖昧な依頼例

  • 「今のサイトが古いから新しくしたい」
  • 「競合他社もリニューアルしたから」
  • 「スマホ対応していないから」

これらはきっかけであって目的ではありません。

1. ビジネス目的を明確にする3つの質問

質問1: 誰に向けて作るのか?

既存顧客向け vs 新規顧客向けで、設計が180度変わります。

対象重視すべき要素予算配分の目安
既存顧客ログイン機能、マイページ、FAQ充実機能開発70%、デザイン30%
新規顧客第一印象、信頼性の演出、導線設計デザイン50%、SEO対策50%

質問2: 何を達成したいのか?

目的を数値化できる形で設定します。

改善が必要な例:

  • 「問い合わせを増やしたい」
  • 「ブランドイメージを向上させたい」

改善後の例:

  • 「月間問い合わせ数を現在の5件から20件に増やす」
  • 「サイト経由の売上を月100万円から300万円にする」
  • 「平均滞在時間を1分から3分に延ばす」

質問3: いつまでに結果が必要か?

制作期間と成果が出るまでの期間は別物です。

フェーズ期間の目安注意点
制作期間2-6ヶ月仕様変更で延長リスク
SEO効果3-12ヶ月競合性による
広告連携即日-1ヶ月予算次第で加速可能

2. KPI設定で失敗を防ぐ

最低限設定すべき5つのKPI

  1. PV(ページビュー)

    • 現状: 月間1万PV → 目標: 月間3万PV
  2. CV(コンバージョン率)

    • 現状: 0.5% → 目標: 2.0%
  3. 問い合わせ数

    • 現状: 月5件 → 目標: 月20件
  4. 直帰率

    • 現状: 70% → 目標: 50%以下
  5. 平均滞在時間

    • 現状: 1分 → 目標: 3分以上

KPIを制作会社に伝えるメリット

  • 提案内容が具体的になる
  • 不要な機能を省ける
  • 成果測定が明確になる
  • 保守運用の方向性が定まる

3. 競合分析なしでは勝てない

最低限チェックすべき競合要素

・デザインのトレンド(色使い、レイアウト)
・コンテンツ量(ページ数、ブログ記事数)
・更新頻度(最終更新日、ニュース頻度)
・機能面(会員機能、予約システム、EC機能)
・集客施策(SEO順位、広告出稿、SNS活用)

差別化ポイントの見つけ方

  1. 競合が弱い部分を狙う

    • モバイル対応が不十分 → スマホUX特化
    • 更新が止まっている → 鮮度の高い情報発信
  2. 競合にない価値を作る

    • 無料相談窓口の設置
    • 動画コンテンツの充実
    • 地域特化型のサービス

4. 運用計画なしは危険信号

制作後に必要な3つの運用体制

項目頻度担当者予算目安/月
コンテンツ更新週1-2回社内or外注5-20万円
システム保守月1回制作会社1-5万円
効果測定・改善月1回社内+制作会社3-10万円

よくある運用の落とし穴

  • 更新担当者の退職で更新が止まる
  • 予算確保忘れで保守契約が切れる
  • パスワード紛失でログインできない
  • バックアップなしでデータ消失

まとめ:発注前のチェックリスト

✅ ビジネス目的を1行で説明できる
✅ ターゲット顧客が明確
✅ KPIを3つ以上設定した
✅ 競合サイトを5社以上分析した
✅ 年間運用予算を確保した
✅ 更新担当者を決めた
✅ 成果測定の方法を決めた

この7項目のうち4つ以上にチェックが入らない場合、発注はまだ早いかもしれません。

制作会社への相談時に、この記事の内容を整理して伝えるだけで、見積もり精度が格段に上がり、プロジェクトの成功確率が高まります。

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