提案依頼書(RFP)の作り方と必須項目

Web制作を発注する際、「とりあえず相談」では良い提案は期待できません。RFP(Request For Proposal:提案依頼書)を用意することで、制作会社から的確な提案を引き出し、比較検討もスムーズになります。

RFPとは何か?なぜ必要なのか

RFPは、発注側が制作会社に対して「こういうものを作りたい」という要望を体系的にまとめた文書です。RFPを用意することで次のようなメリットがあります。

  • 制作会社がプロジェクトの要件を正確に理解し、的確な提案が可能になる
  • 複数社の提案を同じ基準で比較できる
  • 認識のズレや後からの追加要望を防げる
  • 社内の合意形成がスムーズになる

RFPに含めるべき9つの必須項目

1. プロジェクトの背景と目的

なぜ今、Webサイトが必要なのかを明確に記載します。

記載例:

  • 現在の課題(問い合わせが少ない、情報が古い、スマホ対応していない等)
  • 解決したい問題(新規顧客獲得、ブランディング、業務効率化等)
  • 期待する成果(月間問い合わせ数10件、採用応募数2倍等)

2. ターゲットユーザー

誰に向けたサイトなのかを具体的に定義します。

記載例:

  • 年齢層、性別、職業
  • 抱えている課題やニーズ
  • Webサイトを見る状況(PC/スマホ、自宅/職場等)
  • 期待する行動(問い合わせ、購入、資料請求等)

3. 必要な機能と要件

絶対に必要な機能あったら良い機能を分けて記載します。

必須機能の例:

  • お問い合わせフォーム
  • スマートフォン対応
  • SSL対応
  • CMS機能(更新したいページを具体的に)

オプション機能の例:

  • 会員登録機能
  • 決済機能
  • 多言語対応
  • チャット機能

4. 参考サイトと方向性

デザインや機能のイメージを共有するため、参考サイトを3〜5つ程度挙げます。

記載すべき内容:

  • 参考サイトのURL
  • 何が良いと感じたか(デザイン、機能、構成等)
  • 逆に避けたいサイトとその理由

5. コンテンツ計画

サイトに掲載する内容の概要を記載します。

  • 想定されるページ数(10〜20ページ、50ページ以上等)
  • 主要なコンテンツ(会社概要、サービス紹介、事例紹介等)
  • 原稿や写真の準備状況(自社で用意/制作会社に依頼)
  • 更新頻度(月1回、週2〜3回等)

6. スケジュールと納期

いつまでに公開したいかを明確にします。

記載例:

  • 希望公開日(2024年4月1日等)
  • 重要なマイルストーン(社内確認、テスト公開等)
  • 絶対に動かせない期限があれば明記

7. 予算

予算の範囲を提示することで、現実的な提案を受けられます。

記載方法:

  • 「100万円〜200万円程度」のように幅を持たせる
  • 初期費用と月額費用を分けて記載
  • 予算が未定の場合は「提案内容により検討」でも可

8. 運用・保守の要望

公開後の運用体制について記載します。

  • 更新作業(自社/制作会社)
  • 保守内容(セキュリティ対応、バックアップ等)
  • サポート体制(電話/メール、対応時間等)
  • 月額予算の目安

9. 提案時に回答してほしい事項

制作会社に確認したいことを明記します。

確認事項の例:

  • 制作体制とスケジュール
  • 類似案件の実績
  • 制作後のサポート体制
  • 追加費用が発生する条件
  • 契約条件(著作権、解約条件等)

RFP作成時の5つの注意点

1. 完璧を求めすぎない

RFPは「たたき台」です。制作会社との対話を通じてブラッシュアップしていくものなので、最初から完璧である必要はありません。

2. 技術的な解決策を指定しない

「WordPressで作ってください」のような技術指定は避け、「更新しやすいCMSで」のように要望を伝えましょう。

3. 優先順位を明確にする

すべてを「必須」にすると予算オーバーになりがちです。本当に必要なものから優先順位をつけましょう。

4. 社内の合意を取る

RFP作成段階で関係者の意見を集約しておくことで、後からの変更を防げます。

5. 質問を歓迎する姿勢を示す

「不明な点は遠慮なく質問してください」と明記することで、より良い提案を引き出せます。

RFPのテンプレート例

実際に使えるRFPのテンプレートを以下に示します。

【会社名】Webサイト制作 提案依頼書

1. プロジェクト概要
- 目的:[記載]
- 背景:[記載]
- 期待する成果:[記載]

2. ターゲット
- 主要ターゲット:[記載]
- サブターゲット:[記載]

3. 機能要件
【必須】
- [記載]
【希望】
- [記載]

4. デザイン要望
- 参考サイト:[URL]
- イメージキーワード:[記載]

5. スケジュール
- 希望公開日:[記載]
- 主要マイルストーン:[記載]

6. 予算
- 初期費用:[記載]
- 月額費用:[記載]

7. その他
- [記載]

まとめ:RFPは「対話のツール」

RFPは一方的な要求書ではなく、制作会社との建設的な対話を始めるためのツールです。完璧でなくても構いません。まずは上記の項目を埋めることから始めてみましょう。

良いRFPを作成することで、制作会社から的確な提案を引き出し、プロジェクトの成功確率を大きく高めることができます。時間をかける価値は十分にあります。

関連するお悩み

この記事で解決できるお悩みや疑問