ウェブサイト作る前に決めておくべき7つのこと
なぜ「とりあえず作る」が失敗するのか
「とりあえずWebサイトを作ってから考えよう」
この考えで始めたプロジェクトの85%が期待した成果を得られません。なぜなら、目的地を決めずに出発した旅行のようなものだからです。
制作会社に相談する前に、最低限これから紹介する7つの項目を決めておくだけで、プロジェクトの成功率は格段に上がります。
1. なぜWebサイトが必要なのか(目的の言語化)
よくある曖昧な目的と、あるべき姿
| ❌ 曖昧な目的 | ✅ 明確な目的 | 成果の測り方 |
|---|---|---|
| 「今どき必要だから」 | 新規顧客の獲得チャネルを作る | 月間リード数 |
| 「古いから新しくしたい」 | スマホユーザーの離脱を防ぐ | 直帰率の改善 |
| 「競合も持っているから」 | 競合より優れた情報提供で差別化 | 滞在時間の比較 |
| 「営業ツールとして」 | 商談前の情報提供で成約率UP | 成約率の変化 |
| 「会社の信頼性のため」 | 採用応募者の不安を解消 | 応募者数の増加 |
目的を明確にする3つの質問
Q1: Webサイトがない現在、何に困っているか?
例)営業先で「ホームページありますか?」と聞かれて困る
→ 目的:信頼性の担保
Q2: 1年後、どうなっていたら成功か?
例)月10件の問い合わせが来ている状態
→ 目的:リード獲得
Q3: 誰に何をしてもらいたいか?
例)地域の中小企業経営者に、無料相談を申し込んでもらいたい
→ 目的:見込み客の獲得
2. 誰に見てもらいたいか(ターゲット設定)
ペルソナ設定シート
【基本属性】
・年齢:35-45歳
・性別:男性70%、女性30%
・職業:中小企業の経営者・管理職
・地域:東京都内
・年収:600-1000万円
【Web利用状況】
・デバイス:スマホ60%、PC40%
・利用時間:通勤時間(7-9時)、昼休み(12-13時)
・SNS利用:Facebook、LinkedIn
・検索習慣:比較サイトをよく見る
【課題・悩み】
・ITに詳しくない
・コストパフォーマンスを重視
・失敗したくない(リスク回避型)
【サイトに求めること】
・分かりやすい説明
・実績・事例の充実
・料金の透明性
・信頼できる会社かどうか
ターゲット別のサイト設計方針
| ターゲット | デザイン方針 | コンテンツ方針 | 機能要件 |
|---|---|---|---|
| 若年層(20-30代) | トレンド重視、動きのあるデザイン | ビジュアル中心、短文 | SNS連携、動画 |
| 中年層(40-50代) | 見やすさ重視、落ち着いたデザイン | 詳細な説明、信頼性重視 | 資料請求、FAQ |
| 高齢層(60代以上) | 文字大きめ、シンプル | 丁寧な説明、専門用語避ける | 電話番号目立つ |
| BtoB | プロフェッショナル、信頼感 | 事例・実績中心 | ホワイトペーパー |
| BtoC | 親しみやすい、感情に訴える | ベネフィット訴求 | カート機能、レビュー |
3. 予算をどう考えるか(投資対効果)
予算設定の考え方
【売上から逆算する方法】
目標:月間売上100万円UP
客単価:10万円
必要成約数:10件/月
成約率:10%
必要リード数:100件/月
サイト経由リード率:30%
必要アクセス数:3,333PV/月
→ この規模なら初期投資200-300万円が妥当
予算配分の黄金比
| 項目 | 配分比率 | 200万円の場合 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 制作費 | 60% | 120万円 | デザイン、コーディング、CMS |
| コンテンツ | 20% | 40万円 | 撮影、ライティング、動画 |
| マーケティング | 15% | 30万円 | SEO、広告初期設定 |
| 予備費 | 5% | 10万円 | 追加修正、仕様変更 |
段階的投資のススメ
【フェーズ1】最小構成でスタート(100万円)
・基本ページ5-10P
・必要最低限の機能
・シンプルなデザイン
【フェーズ2】反応を見て拡張(+100万円)
・コンテンツ追加
・機能追加
・デザイン改善
【フェーズ3】本格運用(+100万円)
・マーケティング強化
・システム連携
・多言語対応
4. いつまでに必要か(スケジュール)
締切があれば、それに合わせた逆算スケジュールを作成します。余裕を持って3-6ヶ月前には制作会社に相談を始めましょう。
現実的なスケジュール例
グラフ読み込み中...
イベントに合わせたスケジュール設定
| イベント | 逆算期間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 展示会出展 | 6ヶ月前 | 印刷物との連携も考慮 |
| 新商品発売 | 4ヶ月前 | プレスリリースと同時 |
| 決算期 | 3ヶ月前 | 予算消化の都合 |
| 採用シーズン | 5ヶ月前 | 学生の就活時期に合わせる |
| キャンペーン | 3ヶ月前 | 広告との連携必須 |
5. 誰が運用するか(体制づくり)
運用体制の3パターン
| パターン | メリット | デメリット | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 完全内製 | コスト安、スピード早い | スキル必要、属人化リスク | IT人材がいる |
| 完全外注 | プロ品質、手間なし | コスト高、柔軟性低い | 予算潤沢 |
| ハイブリッド | バランス良い | 役割分担が複雑 | 一般的な企業 |
役割分担表の例
【社内担当】
・お知らせ更新 → 総務部(週1回)
・ブログ執筆 → 営業部(月2回)
・問い合わせ対応 → カスタマーサポート(毎日)
・数値分析 → マーケティング部(月1回)
【外注担当】
・システム保守 → 制作会社(月1回)
・デザイン変更 → デザイナー(都度)
・SEO対策 → マーケティング会社(月1回)
・緊急対応 → 制作会社(随時)
6. 成功の基準は何か(KPI設定)
フェーズ別KPI設定
| フェーズ | 期間 | 重視するKPI | 目標値例 |
|---|---|---|---|
| 立ち上げ期 | 0-3ヶ月 | アクセス数、滞在時間 | 月1000PV、2分 |
| 成長期 | 3-6ヶ月 | CV数、直帰率改善 | 月10件、50%以下 |
| 安定期 | 6-12ヶ月 | ROI、リピート率 | 150%、30% |
| 拡大期 | 12ヶ月〜 | 売上貢献、LTV | 月500万、100万円 |
KPIダッシュボードの作り方
【毎日チェック】
・アクセス数
・問い合わせ数
・エラー発生
【週次チェック】
・人気ページランキング
・検索キーワード
・離脱ページ
【月次チェック】
・CV率の推移
・目標達成率
・改善施策の効果測定
7. 将来の拡張性をどう担保するか
3年後を見据えた設計
【考えておくべき将来の可能性】
Year 1(現在):
・静的な会社紹介サイト
・基本的な問い合わせフォーム
Year 2(1年後):
・ブログ機能追加
・会員機能の実装
・メルマガ配信開始
Year 3(2年後):
・EC機能追加
・多言語対応
・MAツール連携
Year 4(3年後):
・アプリ化
・AI chatbot導入
・基幹システム連携
拡張性を確保するための初期投資
| 項目 | 初期投資額 | 将来的なメリット |
|---|---|---|
| スケーラブルなCMS | +30万円 | 機能追加が容易 |
| API設計 | +50万円 | 外部連携可能 |
| モジュール設計 | +20万円 | 部分改修で対応可 |
| ドキュメント整備 | +10万円 | 引き継ぎスムーズ |
まとめ:7つの決定事項チェックリスト
✅ 1. 目的 「○○のために、△△を実現するWebサイトを作る」と一文で言える
✅ 2. ターゲット 「○○歳の△△業界で働く□□な人」と具体的に描ける
✅ 3. 予算 「初期○○万円、月額○万円まで」と上限が明確
✅ 4. スケジュール 「○月○日までに公開」と期限が決まっている
✅ 5. 運用体制 「○○さんが週○回更新」と担当者が決まっている
✅ 6. 成功基準 「○ヶ月後に△△が□□になったら成功」と測定可能
✅ 7. 拡張性 「将来○○機能を追加する可能性がある」と想定している
これら7つが決まっていれば、制作会社も具体的な提案ができます。**
逆に、これらが曖昧なまま発注すると、「思っていたのと違う」「追加費用が膨らむ」「完成後に使われない」というよくある失敗パターンに陥ります。
まずはこの7つを社内で議論し、できれば7割程度、少なくとも半分は決めてから制作会社に相談しましょう。
残り3割は、プロの意見を聞きながら詰めていけば良いです。
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