サイト構成案を固めるための合意形成のコツ
「営業部はこう言うし、広報部は違うことを言うし...」サイト構成を決める段階で、社内の意見がまとまらず困っていませんか?関係者が多いほど合意形成は難しくなります。スムーズに意見をまとめ、全員が納得できる構成案を作る方法を解説します。
なぜサイト構成で意見が割れるのか
立場による視点の違い
各部署は自分たちの課題解決を優先しがちです:
営業部の視点:
- 商品情報を詳しく載せたい
- 問い合わせを増やしたい
- 競合との差別化を強調したい
広報部の視点:
- ブランドイメージを大切にしたい
- ニュースを目立たせたい
- 企業理念を伝えたい
経営層の視点:
- 投資対効果を明確にしたい
- リスクを最小限にしたい
- 早く公開したい
合意形成が失敗する3つのパターン
1. 声の大きい人の意見が通る → ユーザー視点が欠落し、使いにくいサイトに
2. 全員の意見を平等に反映 → 焦点がぼやけ、誰にも刺さらないサイトに
3. 決められずに先送り → スケジュール遅延、追加コストの発生
合意形成を成功させる7つのステップ
ステップ1:意思決定プロセスを先に決める
誰が何を決めるか明確にする:
【決定権限マトリックス例】
サイト全体構成:経営層が最終決定
各部署のページ:部署長が決定
デザインの方向性:マーケティング部が決定
技術仕様:IT部門が決定
決定方法を決める:
- 全会一致が必要な事項
- 多数決で決める事項
- 責任者に一任する事項
ステップ2:共通の判断基準を作る
全員が合意できる原則を設定:
-
ユーザーファースト原則 「ユーザーにとって使いやすいか」を最優先
-
ビジネスゴール原則 「KPI達成に貢献するか」で判断
-
実現可能性原則 「予算と期限内で実現できるか」を考慮
判断基準の重み付け:
重要度配分(100点満点)
- ユーザビリティ:40点
- ビジネス貢献度:30点
- ブランド適合性:20点
- 実現可能性:10点
ステップ3:現状の課題を数値で共有する
客観的データで議論の土台を作る:
- 現サイトのアクセス解析データ
- ユーザーアンケート結果
- 競合他社との比較データ
- カスタマーサポートへの問い合わせ内容
データ共有シート例:
現状の課題(データ付き)
- 直帰率70%(業界平均50%)
- お問い合わせ率0.5%(目標2%)
- スマホユーザー60%なのに非対応
- 「料金が分からない」の問い合わせが月30件
ステップ4:段階的な合意形成を行う
大きな方向性から詳細へ:
第1段階:サイトの目的
合意事項:
「新規顧客獲得のためのリード獲得サイト」
第2段階:主要コンテンツ
合意事項:
- サービス紹介
- 導入事例
- 料金
- お問い合わせ
第3段階:詳細構成
合意事項:
- トップページの要素
- 各ページの内容
- 機能要件
ステップ5:可視化ツールを活用する
抽象的な議論を具体的に:
サイトマップ:
- 全体構造を俯瞰できる
- 階層関係が明確になる
- 抜け漏れに気づきやすい
ワイヤーフレーム:
- レイアウトをイメージできる
- 要素の優先順位が見える
- 具体的な議論ができる
プロトタイプ:
- 実際の動きを確認できる
- 使い勝手を体験できる
- 問題点を発見しやすい
ステップ6:意見収集の方法を工夫する
意見収集では時間を最大限活用:
1. 事前アンケート方式
質問例:
- 現サイトの問題点TOP3
- 新サイトに期待することTOP3
- 絶対に必要な機能
- あったら嬉しい機能
2. ワークショップ方式
- 付箋を使ったブレインストーミング
- グループディスカッション
- 優先順位投票
3. 個別ヒアリング方式
- キーパーソンとの1対1面談
- 部署ごとの要望聞き取り
- 現場の声を直接収集
ステップ7:合意内容を文書化する
決定事項の記録と共有:
【サイト構成 合意書】
日付:2024年○月○日
参加者:各部署長
1. サイトの目的
- 新規リード月50件獲得
2. ターゲット
- 中小企業の経営者・決裁者
3. 必須コンテンツ
- サービス紹介(5ページ)
- 事例(10件)
- 料金表
- お問い合わせフォーム
4. 今回は見送る機能
- 会員機能
- ブログ
- 多言語対応
承認者サイン:______
意見対立を解決する5つのテクニック
1. ユーザーテストで判断
意見が対立したら、実際のユーザーに聞いてみましょう。
- 簡易プロトタイプでA/Bテスト
- ターゲットユーザーへのヒアリング
- アンケート調査
2. 段階リリースで妥協
全部を一度に実現しなくてもよいのです。
- Phase1:必須機能のみ
- Phase2:3ヶ月後に追加
- Phase3:効果を見て判断
3. データで優先順位を決める
感情論ではなく数値で判断:
- 各案の想定効果を数値化
- 実装コストを算出
- 費用対効果で順位付け
4. 外部専門家の意見を聞く
第三者の客観的な意見を参考にしましょう。
- 制作会社のアドバイス
- UXコンサルタントの見解
- 他社の成功事例
5. 小さく試して検証する
議論より実験:
- ランディングページで検証
- 期間限定で試す
- 一部のユーザーだけに公開
会議を効率化する8つのルール
1. 事前準備を徹底する
- アジェンダを3日前に共有
- 資料を事前に配布
- 意見を事前に収集
2. 時間管理を厳格に
- 1議題15分以内
- タイムキーパーを置く
- 延長は原則なし
3. 参加者を厳選する
- 決定権者は必須
- 実務担当者も参加
- 5名以内が理想
4. 議論のルールを決める
- 批判より改善案
- 1人1回は発言
- 結論を必ず出す
5. ファシリテーターを置く
- 中立的な進行役
- 意見の整理と要約
- 合意形成の促進
6. ホワイトボードを活用
- 意見を可視化
- 論点を整理
- 合意事項を明記
7. 議事録は即日共有
- 決定事項を明記
- 宿題事項を明確に
- 次回日程を確定
8. フォローアップを確実に
- 宿題の進捗確認
- 追加意見の収集
- 必要なら個別調整
よくある質問と対処法
Q: 社長の意見が二転三転する
A: 判断材料を整理して提示:
- 各案のメリット・デメリット表
- 想定される結果の比較
- リスクと対策の明示
Q: 技術的な制約で実現できないと後から言われた
A: 早期に技術部門を巻き込むことで次のような対応が可能になります。
- 構想段階から相談
- 実現可能性の事前確認
- 代替案の準備
Q: 時間がなくて全員の意見を聞けない
A: 短時間で最大限の意見を集める方法:
- オンラインアンケート活用
- 代表者による意見集約
- 重要度で優先順位付け
まとめ:プロセスが結果を決める
サイト構成の合意形成は、明確な手順と基準に基づいたプロセスを踏めば必ず成功します。
成功のポイント:
- 意思決定プロセスを明確にする
- 共通の判断基準を持つ
- データに基づいて議論する
- 段階的に合意を積み上げる
- 決定事項を文書化する
全員が100%満足することは難しいですが、納得感のある進め方をすることで、プロジェクトへの協力を得やすくなります。合意形成は「説得」ではなく「納得」のプロセス。透明性の高い進め方で、全員が当事者意識を持てる構成案を作りましょう。
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