テスト公開から本番リリースまでの流れと注意点

制作が完了し、いよいよ公開が見えてきました。しかし、ここで気を抜くと思わぬトラブルに見舞われることも。テスト公開から本番リリースまでの正しい手順と、見落としがちな注意点を詳しく解説します。

テスト公開から本番リリースまでの全体像

標準的なスケジュール(2〜3週間)

Week 1:テスト環境構築と初期テスト
Week 2:本格的な検証と修正
Week 3:最終確認と本番リリース

各段階の役割分担

制作会社の作業:

  • テスト環境の構築
  • 不具合の修正
  • パフォーマンス最適化
  • 本番環境への移行

発注者の作業:

  • コンテンツの最終確認
  • 動作テスト
  • 承認判断
  • 社内への周知

Phase 1:テスト環境の構築(1〜2日)

テスト環境とは

本番と同じ環境で、限られた人だけがアクセスできる確認用サイトです。

テスト環境の種類:

  • Basic認証でアクセス制限
  • IPアドレス制限
  • テスト用サブドメイン(test.example.com)

確認すべきポイント

アクセス方法の確認:

  • URL、ID、パスワード
  • アクセス可能な人数
  • スマホからのアクセス方法

注意事項:

  • 検索エンジンにインデックスされない設定か
  • 関係者以外にURLを共有しない
  • パスワードは定期的に変更

Phase 2:基本動作テスト(2〜3日)

表示確認チェックリスト

デバイス別確認:

  • ✔︎ PC(Windows)
  • ✔︎ PC(Mac)
  • ✔︎ iPhone(Safari)
  • ✔︎ Android(Chrome)
  • ✔︎ タブレット(iPad等)

ブラウザ別確認:

  • ✔︎ Chrome(最新版)
  • ✔︎ Safari(最新版)
  • ✔︎ Edge(最新版)
  • ✔︎ Firefox(最新版)

画面サイズ別確認:

  • ✔︎ 1920×1080(フルHD)
  • ✔︎ 1366×768(一般的なノート)
  • ✔︎ 375×667(iPhone)
  • ✔︎ 360×640(Android)

機能テストチェックリスト

フォーム関連:

  • ✔︎ お問い合わせフォームの送信
  • ✔︎ 自動返信メールの受信
  • ✔︎ 必須項目のバリデーション
  • ✔︎ エラーメッセージの表示

リンク関連:

  • ✔︎ 内部リンクの動作
  • ✔︎ 外部リンクの動作
  • ✔︎ PDFダウンロード
  • ✔︎ 電話番号リンク(スマホ)

検索・フィルター:

  • ✔︎ サイト内検索の動作
  • ✔︎ カテゴリー絞り込み
  • ✔︎ タグでの絞り込み
  • ✔︎ ソート機能

Phase 3:コンテンツ確認(3〜4日)

テキストコンテンツの確認

確認項目:

  • ✔︎ 誤字脱字
  • ✔︎ 表記統一(全角/半角、送り仮名)
  • ✔︎ 日付や数値の正確性
  • ✔︎ 著作権表記(©2024等)
  • ✔︎ 個人情報保護方針
  • ✔︎ 利用規約

確認方法のポイント:

  1. 複数人でダブルチェック
  2. 音読して確認
  3. プリントアウトして確認
  4. 一度に全部ではなく、ページごとに確認

画像・動画の確認

画像確認:

  • ✔︎ 表示されない画像がないか
  • ✔︎ 画質は適切か
  • ✔︎ altテキストは設定されているか
  • ✔︎ 著作権的に問題ないか

動画確認:

  • ✔︎ 再生できるか
  • ✔︎ 音声は適切か
  • ✔︎ 字幕は正しいか(ある場合)
  • ✔︎ サムネイルは適切か

Phase 4:パフォーマンステスト(1〜2日)

表示速度の確認

測定ツール:

  • Google PageSpeed Insights
  • GTmetrix
  • Lighthouse

目標値:

モバイル:3秒以内
PC:2秒以内
Core Web Vitals:すべて「良好」

負荷テスト

確認項目:

  • 同時アクセス数の上限
  • フォーム送信の同時処理
  • 画像の読み込み速度
  • データベースの応答速度

Phase 5:SEO関連の確認(1日)

メタ情報の確認

各ページで確認:

  • ✔︎ titleタグ(30文字程度)
  • ✔︎ meta description(120文字程度)
  • ✔︎ OGP画像
  • ✔︎ 構造化データ

SEO基本設定

  • ✔︎ robots.txtの設定
  • ✔︎ XMLサイトマップの生成
  • ✔︎ canonical URLの設定
  • ✔︎ 404エラーページの設定

Phase 6:セキュリティチェック(1日)

必須のセキュリティ確認

  • ✔︎ SSL証明書の設定
  • ✔︎ httpからhttpsへのリダイレクト
  • ✔︎ フォームのセキュリティ(SQLインジェクション対策等)
  • ✔︎ 管理画面のアクセス制限
  • ✔︎ バックアップの設定

Phase 7:最終承認プロセス(2〜3日)

承認前の最終確認

チェックリスト作成:

【最終確認リスト】
・全ページの表示確認完了
・全機能の動作確認完了
・コンテンツの確認完了
・法務チェック完了
・経営層の確認完了

修正対応の優先順位

優先度A(公開前に必須):

  • 表示崩れ
  • 機能不具合
  • 重大な誤字
  • 法的問題

優先度B(公開後対応可):

  • 軽微なデザイン調整
  • 追加要望
  • パフォーマンス改善

Phase 8:本番リリース準備(1〜2日)

リリース前の準備作業

技術的準備:

  • ✔︎ DNSの設定確認
  • ✔︎ リダイレクト設定
  • ✔︎ キャッシュクリア
  • ✔︎ バックアップ取得

社内準備:

  • ✔︎ 関係者への連絡
  • ✔︎ プレスリリース準備(必要な場合)
  • ✔︎ SNS告知準備
  • ✔︎ 社内マニュアル準備

リリース日時の決定

避けるべきタイミング:

  • 金曜日の夕方(トラブル対応が困難)
  • 連休前
  • 繁忙期
  • システムメンテナンス予定日

推奨タイミング:

  • 火曜〜木曜日の午前中
  • アクセスが少ない時間帯
  • 関係者が対応可能な日時

Phase 9:本番リリース作業(数時間)

リリース作業の流れ

1. 最終バックアップ取得(30分)
2. DNS切り替えまたはファイル転送(30分〜2時間)
3. 動作確認(30分)
4. 問題があれば切り戻し(30分)
5. 関係者への完了連絡(15分)

リリース直後の確認

即座に確認すべきこと:

  • ✔︎ トップページの表示
  • ✔︎ 主要ページへのアクセス
  • ✔︎ お問い合わせフォームの動作
  • ✔︎ スマホでの表示
  • ✔︎ リダイレクトの動作

Phase 10:公開後の監視(1週間)

初日〜3日目

重点監視項目:

  • アクセス状況
  • エラーログ
  • お問い合わせ状況
  • 表示速度

1週間後

確認項目:

  • Google Search Consoleでのエラー
  • アナリティクスでの異常値
  • ユーザーからのフィードバック
  • 社内からの改善要望

トラブル対応マニュアル

よくあるトラブルと対処法

表示されない:

  1. DNSの浸透待ち(最大48時間)
  2. キャッシュのクリア
  3. ブラウザの再起動

一部が表示されない:

  1. 画像パスの確認
  2. SSL混在コンテンツの確認
  3. JavaScriptエラーの確認

フォームが動かない:

  1. メールサーバーの設定確認
  2. 送信先アドレスの確認
  3. スパムフィルターの確認

緊急時の連絡体制

【緊急連絡先リスト】
制作会社担当者:○○(090-xxxx-xxxx)
サーバー会社:○○(03-xxxx-xxxx)
社内責任者:○○(内線xxx)

リリース成功のための10のポイント

  1. 余裕を持ったスケジュール設定
  2. 段階的な確認作業
  3. 複数人でのダブルチェック
  4. 優先順位の明確化
  5. バックアップの確実な取得
  6. 切り戻し手順の準備
  7. 関係者への事前連絡
  8. リリース日時の計画的な選定
  9. 監視体制の確立
  10. 改善リストの作成

まとめ:最後まで気を抜かない

テスト公開から本番リリースは、プロジェクトの総仕上げです。ここでの確認不足は、公開後の信頼性に直結します。

成功のカギ:

  • 計画的な確認作業
  • 優先順位を付けた対応
  • トラブルへの備え
  • 公開後のフォロー体制

「やっと公開できた」で終わりではなく、「無事に公開できた」と言えるよう、最後まで丁寧な作業を心がけましょう。公開は新たなスタート。ユーザーからのフィードバックを受けて、さらなる改善につなげていくことが大切です。

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