ウェブサイト制作の全工程を時系列で解説(問い合わせから納品まで)
ウェブサイト制作を初めて発注する方にとって、「問い合わせしたら次は何が起きるの?」という不安は大きいはず。ここでは、実際の制作フローを時系列で追いながら、各段階で何が行われ、発注者として何をすべきかを詳しく解説します。
ウェブサイト制作プロセスの全体像
本記事は当サイトのフェーズ分類に沿って全体像を解説します。
各フェーズごとのお悩みを分けているので、必要に応じて参照してください。
- 全体像の把握(着手前) ← 現在の記事
- 1依頼前の要件と計画 事前に身につけると良い知識や、依頼前の準備まで
- 2パートナー選定・初回接触 依頼する会社の探し方や、選定方法まで
- 3見積・契約前の意思決定 依頼会社を決めるための比較や、契約時の確認まで
- 4キックオフと制作進行 制作開始から、スムーズに進行するためのポイント
- 5テスト・検収・公開 本番公開前の最終確認や、公開まで
- 6運用・改善 公開後の保守や、サイト改善の方法など
フェーズ0:全体像の把握(着手前)
「ウェブサイト制作の全体の流れは理解してるよ」 という方はスキップして、
👉 フェーズ 1 に進んでください。
ウェブサイト制作が初めて発注の方は、まずは全体像を把握し、各フェーズで何が行われ、発注者として何をすべきかを理解しましょう。
1. 依頼前の要件と計画
目標:予算、スケジュール、要件(やりたいこと)の希望を固め、依頼の土台を作ること
依頼前の事前の調査や準備は、ウェブサイト制作を成功させるためには重要です。このフェーズをしっかり固めることで、後のフェーズがスムーズに進んだり、見積もりが安くなるなんてこともよくあります。👉 フェーズ 1
2. パートナー選定・初回接触
目標:御社にあった要件に適合し、相性と実行力のある制作会社候補を絞ること
御社の目的にあった探し方で候補を見つけます。そして、評価基準を明確にし、実績・体制・進め方・価格・相性を連絡し比較してください。初回ヒアリングで認識のズレを可視化して候補を絞りましょう。👉 フェーズ 2
3. 見積・契約前の意思決定
目標:依頼する制作会社との契約条件を最終確定し、パートナーにすること
提案・見積・スケジュールを精査し、スコープの線引き、変更管理、検収・支払条件を確定。実現性と費用対効果を検証します。
また理想の関係性としては、パートナーになってもらうことが重要です。👉 フェーズ 3
4. キックオフと制作進行
目標:役割分担を明確にし、着実にゴールに向かって進めていくこと
キックオフでは、プロジェクトの全体像を共有し、役割分担や進行方法を明確にしてください。素材準備の協力がなく、スケジュールが守れないこともよくあります。
制作進行中は、適切にレビューやフィードバックを通じて、品質を担保しながら進めていきます。👉 フェーズ 4
5. テスト・検収・公開
目標:受入基準を明確にし、トラブルなく公開を行うこと
テスト・検収・公開では、実際の運用を見据えた検証を行います。受入基準を満たさない場合は、修正を依頼し、再度検証を行います。
このフェーズを曖昧にすると、トラブルが発生しやすくなります。👉 フェーズ 5
6. 運用・改善
目標:公開後の運用をスムーズに行える体制を整え、継続的な改善を図ること
運用・改善では、目標に応じて依頼や保守契約を行います。保守がいらないとお考えでも、セキュリティー等に最低限確認しなければいけないこともあります。 👉 フェーズ 6
ここまでが大まかな全体像です。この記事ではこの後、各フェーズのより具体的なスケジュール目安、アクション、チェックリスト、参考情報を用意しました。
発注者がやることを具体的に確認し、一つずつ進めていきましょう。
フェーズ1:依頼前の要件と計画
目標:予算、スケジュール、要件(やりたいこと)の希望を固め、依頼の土台を作ること
依頼の土台とは、具体的に言い換えると 「RFP(提案依頼書)を作成するための情報を整理すること」 です。
- 期間目安:1〜2週間
- 発注者アクション:RFP(依頼書)を作成するための情報をまとめる
- 制作会社の動き:ヒアリングシート提示、質問や回答、RFPの雛形提供
チェックリスト
- 公開の希望日は、決まっていますか?
- サイトを制作する目的は、決まっていますか?
- 社内の承認フローは、決まっていますか?
- サイト要件(載せたいこと)は、大まかに決まっていますか?
- 参考サイトなどは、用意しましたか?
落とし穴
これらのチェックリストが不十分だと、以下のような問題が起きることがあります。
- スケジュールが遅れがちになったり、制作会社に後回しにされる
- 効果の出ないサイトや、ビジネスに貢献しないサイトになる
- 見積もりが高くなったり、必要以上に費用もかかる。
- 製作中や制作後のトラブルにもつながる
👉 関連するお悩み 📋何を準備すればいいかわからない発注前に準備すべき資料や情報が不明。何をどこまで準備すれば制作会社に伝わるか不安。→ ⏰資料準備にどれくらい時間がかかるか不安発注に必要な資料の準備期間が見積もれない。どの程度の品質で準備すべきかも不明。→ 📜RFP(提案依頼書)の作り方とテンプレートが欲しい提案依頼書の作成が初めてで、何をどんな形式で書けばよいかわからない。RFPに何を記載すべきか、どの程度詳細に書くべきかが分からない。→
フェーズ2:パートナー選定・初回接触
目標:御社にあった要件に適合し、相性と実行力のある制作会社候補を絞ること
良い制作会社を見つけることはプロジェクトの成功に直結します。
評価基準を明確にし、RFP(依頼書)を作成し、連絡を取ります。
初回の打ち合わせでは、評価基準を元に、強みや提案を聞いたり、質問をして候補を絞りましょう。
- 期間目安:1〜2週間
- 発注者アクション:評価基準の明文化(実績/体制/進め方/価格/相性)、候補比較
- 制作会社の動き:実績・体制の資料提示、初回アポ、ヒアリングなど
チェックリスト
- 目的にあった探し方で、候補を見つけていますか?
- 何を評価基準とするか、何を優先とするか、明確化できていますか?
- 初回打ち合わせでの質問事項を、用意しましたか?
- 機密が絡む場合はNDAを先に締結べていますか?
落とし穴
これらのチェックリストが不十分だと、以下のような問題が起きることがあります。
- スケジュールが遅れがちになったり、制作会社に後回しにされる
- 効果の出ないサイトや、ビジネスに貢献しないサイトになる
- 見積もりが高くなったり、必要以上に費用もかかる。
- 製作中や制作後のトラブルにもつながる
👉 関連するお悩み 🔎どこで制作会社を探せばいいかわからない会社の周りに心当たりがなく、どこでどうやって制作会社を探せばよいか分からない。→ 🤔何を基準に制作会社を選べばいいかわからない多数の制作会社から何を基準に選べばよいか判断できない。実績の見方や評価ポイントが不明確。→ 📩最初に何を伝えればいいかわからない制作会社への初回コンタクトで何を伝えればよいか不明。返信をもらえないことがある。→
フェーズ3:見積・契約前の意思決定
目標:選定した制作会社との契約条件を最終確定し、良い関係を築くこと
提案・見積・スケジュールを精査し、スコープ(何やって何をやらないか)の線引き、変更管理、検収・支払条件を確定。実現性と費用対効果を検証します。
また理想の関係性としては、一緒に目的を達成するパートナーのような関係になれるのが理想です。
- 期間目安:1〜2週間
- 発注者アクション:具体的な追加質問、スコープの線引き、契約の確認
- 制作会社の動き:具体的な提案/見積/スケジュール/リスク提示、条件調整
チェックリスト
- 目的にあったサイト制作の提案をしてもらえていますか?
- どこまで作るのか、何をしてもらえるのか、を明確にできていますか?
- 変更が必要な際のルール(要件追加の見積/影響範囲の扱いなど)確認できていますか?
- 検収基準と受入テスト観点など、求める品質の確認や合意ができていますか?
落とし穴
これらのチェックリストが不十分だと、以下のような問題が起きることがあります。
- スコープ(今回制作する範囲)が曖昧なまま契約し、追加費用や納期遅延が発生する
- 検収基準が未定義で、何度も修正が続き品質トラブルになる
- 変更管理のルールがなく、進行中にやることがどんどん増える(追加費用や納期遅延につながる)
- 著作権・データの権利帰属や納品物範囲を見落とし、運用で支障が出る
👉 関連するお悩み 📀見積もりが高いか安いか判断できない複数の見積もりで金額や内容がバラバラで、何を基準に判断すればよいか迷っている。→ 📄契約書の内容が難しくて理解できない法務担当がいない中、契約書の重要な条項を見落とすリスクがある。後々のトラブルを避けたい。→ 📉追加費用がどこまで発生するか不安初期見積もり以外の追加費用が発生し、予算オーバーしてしまうリスクが心配。どんなケースで追加費用が発生するか知りたい。→
フェーズ4:キックオフと制作進行
目標:役割分担を明確にし、着実にゴールに向かって進めていくこと
このフェーズでは、キックオフでプロジェクトゴール、役割分担、コミュニケーション方法などを合意してください。進行中は素材準備とレビューを期限厳守で回して品質とスピードを両立させます。
- 期間目安:制作全体:6〜8週間
- 発注者アクション:素材準備、レビュー(フィードバック)期日順守
- 制作会社の動き:WBS/進行管理/成果物定義、制作、レビュー対応
チェックリスト
- 定例の頻度・議事録のフォーマット・合意の記録先は、決まっていますか?
- スケジュールや計画、または、管理する人は決まっていますか?
- 何をいつまでに確認やレビューができるか、またレビュー対応期限を、管理する人は決めていますか?
- 文書・素材の保管場所は、統一していますか?
- 素材・原稿の提出期限と責任者は、明確ですか?
- 仕様変更時のルール(影響範囲/見積/承認フロー)は、決まっていますか?
落とし穴
これらのチェックリストが不十分だと、以下のような問題が起きることがあります。
- 素材遅延が全工程に波及する(先に「ダミーで進め後差し替え」の合意がない)
- レビュー期限の曖昧さで停滞し、責任の所在不明になる
- 承認者不明で意思決定が詰まり、スケジュールが後ろ倒しになる
- 仕様変更の扱い未定義でスコープクリープ(追加作業)やトラブルが発生する
👉 関連するお悩み 🚀キックオフミーティングで何を決めるべきかプロジェクト開始時の重要な決定事項を見落とすと、後々の進行に支障をきたすリスクがある。→ 📝何をいつまでに準備すればいいかわからないサイトに掲載するコンテンツの準備が必要だが、何をどの程度の品質で用意すべきか分からない。→ 🎨デザインの良し悪しが判断できないデザインの好みは主観的で、関係者間で意見が割れて承認が進まない。客観的な判断基準が欲しい。→
フェーズ5:テスト・検収・公開
目標:受入基準を明確にし、トラブルなく公開を行うこと
このフェーズでは、公開前に受入基準を明確化し、重大度で対応を切り分けつつ、公開までの準備をします。 移行手順とロールバックを準備して安全に公開します。
- 期間目安:1〜2週間
- 発注者アクション:受入テスト、優先度づけ、公開の意思決定
- 制作会社の動き:機能/表示/パフォーマンス/セキュリティ/SEOの検証、修正
チェックリスト
- 社内の確認や承認に十分な期間がありますか?
- 網羅的なテストケースが、用意し、テストできていますか?
- 受入観点表(必須/重要/軽微)と合否基準は、合意できていますか?
- 本番公開手順と、公開後のチェックすべき項目は、事前に確認しましたか?
- 公開後の監視(エラーログ/アナリティクス/サーチコンソール)は、設定済みですか?
落とし穴
これらのチェックリストが不十分だと、以下のような問題が起きることがあります。
- 不具合修正が終わらない(重大度で線引きし、軽微は公開後に対応へ)
- 受入基準の曖昧さでテスト漏れが生じ、公開後に不具合が発覚する
- リニューアルの場合、移行手順不足でダウンタイムが発生する。
- リニューアルの場合、ロールバック/バックアップ未整備で障害時に復旧できない
👉 関連するお悩み ✅何をチェックすればいいかわからない完成したサイトが要求を満たしているかどう判断する基準が不明。何をチェックすればよいかわからない。→ 🚀公開前に必要な作業がわからない本番リリース時にデータ消失や動作不具合が起きないか心配。安全な移行方法を知りたい。→ ✓公開後のチェック項目がわからない公開後に何を確認すべきか不明で、問題を見落とすリスクがある。体系的なチェック方法が欲しい。→
フェーズ6:運用・改善
目標:公開後の運用をスムーズに行える体制を整え、目的を達成するための継続的な改善を図ること
このフェーズでは、KPIに基づく仮説→実装→検証のサイクルを回し、保守体制と意思決定フローを整備して継続的に改善します。
- 発注者アクション:KPIレビュー、仮説→実装→検証のサイクル運用
- 制作会社の動き:月次レポート、改善提案、修正運用
チェックリスト
- 目的に応じたKPI設定ができていますか?
- 計測設計(イベント/コンバージョン)とダッシュボードは、運用できていますか?
- 30/90日改善リストの優先度と担当は、更新されていますか?
- ドキュメントやマニュアルなどが、更新される体制はできていますか?
- 誰が最終決定者かが、明確ですか?
落とし穴
これらのチェックリストが不十分だと、以下のような問題が起きることがあります。
- KPI未設定で施策が場当たり的になり、改善の効果が見えない
- 計測不備で判断材料が不足し、意思決定が遅れる
- 属人化で引き継ぎできず、リスクが高まる
- 緊急時フロー不在で障害対応が遅れる
- 保守範囲で期待ギャップやトラブルが発生する
- 決裁者不明で施策が進まない
👉 関連するお悩み 🔧公開後に何をすればいいかわからないサイト公開後の運用体制が未整備で、問題発生時やコンテンツ更新時の対応が不安。→ ⚙️どこまで自社でやるべきかわからない社内での運用が難しいが、外注コストや依存性の高まりも心配。どちらが自社に適しているか判断したい。→ 📚更新作業が難しくてできるか不安サイト運用担当者のITrスキルが低く、適切な更新や管理ができるか不安。システムが複雑すぎないか心配。→
まとめ:プロジェクトは協働作業
ウェブサイト制作は制作会社と発注者の「協働」で進みます。フェーズごとに制作会社と発注者の役割と合格基準を明確にし、合意の記録とスピーディな意思決定を積み重ねれば、3〜4ヶ月のプロジェクトも安定して完走できます。 本記事のチェックリストを使い、次のフェーズに移る前に「準備OK」を確認していきましょう。
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